プロジェクト

目的を研ぎ澄ます

なぜ「目的」を確認するのか。

「目的は何。」
「何のためですか。」
「やる意味あるんですか。」

会議、1on1、フィードバックなど、
よく見聞きする問いです。

目的のない仕事はありません。
誰もが分かっていることです。

では、この問いって何でしょうか。

目的を共有する関係者間で
目的の認識が合っていないと
話し合っている状況です。

なぜそんな事になるのか。
そうならないポイントを紹介します。

目的を研ぎ澄ますポイント

①仕事の連鎖と利害関係者を認識する
②各利害関係者に生じる利害を考える
③利害関係者と共通の物語にする

①仕事の連鎖と利害関係者を認識する

まず、理解が得られにくい時に
よく起きていることがあります。

目的を設定した人が、
限られた人の視点に特化して、
目的を設定してしまっている。

例えば、自分や顧客です。

そもそも仕事において、
一人で完結することは稀です。

ほとんどの場合において、
我々の仕事は、
いろいろな過程を経てやって来て、
いろいろ過程を経ていきます。

つまり、
我々は仕事の連鎖の中に、
組み込まれている訳です。

従って、
目的は、話す相手だけでなく、
連鎖に組み込まれる利害関係者の
各立場を踏まえた設定が必要です。

②各利害関係者の利害を考える

三方良し

売り手良し・買い手良し・世間良し

という言葉があります。
近江商人の言葉で、
松下幸之助氏も使われています。

この三方は、
社外に限らず、社内においても、
自分を主体として見ていけば、
いろいろな場面で、
いろいろな捉え方ができます。

仕事は連鎖していくのですから、
三方の各々に至る連鎖の中に
利害関係者がいることになります。

ただ、大抵の場合、
そこまで想定できていません。

なので、
各利害関係者に説明する時に
とっさに考えたことを即答してしまい、
「よく分からない」となってしまいます。

ただ、
なぜ各利害関係者の立場で
考えられないのでしょうか。

それは、各々が潜在的に
利害関係者(自分以外)と自分は
専門分野や役割が違うので、
「分からない」と思っているから。

別の言い方をすれば、
「分かろうとしていない」のです。

これは機能別組織で良く起きる
官僚主義的な振る舞いと同じです。

自分の業務分掌や役割に囚われ、
自らの職務効率を最大化しようと
止むを得ず、個別最適を考えます。
その方が評価されるからです。

この前提を認識した上で、
利害関係者にどんな利害が生じ得るのか、
課題は何かを洞察していき、
有効な手立てを講じる必要があります。

③利害関係者と共通の物語にする

各利害関係者の利害・課題・打ち手を想定したら、
それを体系的に整理します。

まず、書き出すことが重要です。

書き出すことで補助記憶装置となり、
文字からインスピレーションが沸き、
考えるスペックが高まります。

体系化してみると分かってくるのは、
利害が相反している事柄が出てくる事です。

その場合は全体最適と個別最適の間で
相反しないような革新的な手段、もしくは、
妥協点としての落とし所を見出します。

そうしていくことで、
連鎖の中にいる利害関係者が共有し、
協働し得る目標が物語として、
青写真(タタキ台)化されていくのです。

ただ、仮に体系化できたとしても、
まだ発案者側の青写真(タタキ台)なので、
利害関係者との対話を通じて、
各々が何の為にどう動いていけるかを
共有できるような現実的なものに
調整、ブラッシュアップする必要があります。

つまり、青写真(タタキ台)の共有だけでなく、
利害関係者の意見を織り込みながら、
共感を持ち得る共通の物語としながら、
その目的を研ぎ澄ましていくのです。

従って、物語を描く主体には、
無私且つ中立的なスタンスを取った上で、
利害関係者を利用することなく、
三方良し、WIN-WINを前提にした
出来事作りを取り組むことで始めて、
信用を築くことが可能となります。

これが「目的を研ぎ澄ます」という作業です。

利害関係者と共通の物語にしよう
初プロジェクトでPMOに悩んだら通信キャリアの戦略企画部署で管理職を担う中小企業診断士が 日々の実務で常時複数、数十名から数百名が参画するプロジェクトの 立案、推進を通じて培った仕事のTIPS(コツ)を紹介します。 この回では、初めてプロジェクトを任された時に悩むPMOの設定について紹介します。...