経営方針は業績と関連するか
中小企業診断士の
経営革新等認定支援機関として
また、通信キャリアの企業内診断士として
大企業から中小企業まで
様々な事業計画に携わっています。
やっているのは、
ビジョンや経営方針に基づき、
5年先のありたい姿に至る道を
戦略として具体化して、
中期計画を策定していくこと。
社外、社外の様々な情報を仕入れ、
利害関係者の様々な意見を取り入れ、
情報のサンドバッグになりながら、
整理整頓して浮かび上がらせます。
なので、策定中は、
考えすぎて、吐きそうなくらい
気持ち悪くなることも(笑

ただ、その一方で、
実際には現場の同僚と話すと
今の自分の仕事にどう繋げるか
具体化が難しいと言われます。
総論OK、各論NG
というやつです。
現在進行系での対応や数字に
専念せざるを得ず、
機能別組織で役割も限定される。
経営視点で俯瞰的に描いた
5年先のありたい姿が
現場にとってはイノベーティブであり、
様々な挑戦を求める内容になるので、
腹落ちが非常に難しくなる。
従って、現場目線に慣れている場合、
どうしても近視眼的な捉え方になり、
未来に何をやるべきかよりも、
何ができるかを考えがちなので、
違う視点で捉える工夫が必要です。
この本が大変参考になりました。
組織規模が大きくなれば、
どの企業も同じような状況に
避けにくく、陥りやすくなります。
従って、
それを防ぐために、どの企業も、
経営層は社内の風通しを良くして、
様々なリスクを考えながら、
いかに企業価値を高めていくかを
経営方針に表現、織り込みながら
日々の業務に取り組んだ結果が、
業績として反映されてくるのです。
企業価値にどう関連するのか
「業績」の大部分となる現場活動は
過去の延長上で継続してきている
過去進行形の活動の結果であり、
その現時点の状況として見えるのが、
業績状態、ベース(土台)です。
しかし、「投資」の観点であれば、
未来の業績に利益を見出すので、
未来に何をやるのかを知らずに
将来の企業価値は読めません。
むしろ、業績は過去に策定された
中期経営計画の結果であるが故に、
未来に何かやるのかを示した
中期経営計画やその前提となる
経営方針が大変重要になります。

経営方針として、
目指す方向を見誤ってしまうと、
同じパワーやリソースでも
結果に大差が出てきます。
なので、かなりの時間をかけて、
様々な視点、情報で議論、共有し、
磨き上げたものになります。
経営方針をどう見るか
経営方針とは、簡単に言うと、
です。
となれば、以下を把握していきます。
・どんな価値を生む市場か
・どの位の規模がある市場なのか
・どんな競合がいるか
次に、目指す理由としては、
を把握していきます。
・どんな価値を提供できるのか
・勝ち得る要素は何か
・勝ち得る要素を持っているか
その把握に際して重要な点は、
投資先銘柄のIR情報だけでは
分からないという事です。
投資先銘柄が目指す市場で
競合となり得る企業のIR情報と
並べて比較することで始めて、
正しい立ち位置が把握できます。
なぜなら、
投資先銘柄も当然その分析を基に
策定しているはずであり、
確からしさの根拠になるからです。

経営方針とプレスリリース
あとは、
実際に経営方針が実現され得るか
という実現力をどう読むかです。
実は3〜5年という中期経営計画の
時間軸は非常に短いです。
成長に大きく寄与する施策は、
抜本的な転換やイノベーションを
必要としますので、
準備から実績が出るまでに
かなり時間がかかるからです。
とすると、プレスリリースには、
中期経営計画の具体的な施策が
表現されていると言えます。
過去の中期経営計画に基づき、
どのような施策が具体化し、
業績につながってきているか。
現場の第一線にある情報を
適切に拾った上での施策であれば、
お客様や取引先に共感が得られます。
その一つの検証として、
商品やサービスを買ってみたり、
使ってみることで感じる体験も
非常に重要な暗黙知になります。


従って、銘柄選びの際にも、
身近な銘柄の方が分析しやすいです。
このようにそれぞれのIR情報を
単体の資料として見るのではなく、
合わせ技で複合的に見ることで、
経営方針から本質的な将来性の
把握に近づく事ができてきます。



