理念と存続価値
始めての投資は不安です。
大事な資産が減るかもしれません。
損が大きくて塩漬けになったり。
大事な資産を守り、殖やすには、
投資対象が市場に価値を提供し、
存続し続けられるかを見極め、
リスクをいかに最小化するかを
考えていく必要があります。
そもそもどんな事業でも、
成長するには時間がかかります。
「株価上昇≠成長」でありません。
むしろ、
「株価上昇=期待上昇」です。
そして、
「期待」は投資家心理ですが、
「成長」は顧客心理です。
事業で顧客心理を動かすことで、
企業が成長していきます。
つまり、
営む事業が顧客に必要だからこそ、
その企業の存続価値があります。
「企業理念」「経営理念」は、
企業が目指す存続価値の説明です。
大事な資産を投資しますから、
下記を肝に銘じる必要があります。
その共感が応援(投資)の重要な前提。
資本家、投資家の中には、
同じ「投資」という言葉でも
①応援と②搾取があります。
この違いは評価額は下がった場合の
立ち振る舞いをも変えます。
①応援
「応援」はその企業に共感し、
社会の公器として存続を支援すること。
その支援の対価として利益を享受します。
従って、
「応援」は「信用」を見ます。
例えば、
頑張らない、不誠実、利己主義な人、
といった「信用」に値しない人を
応援したいとは思いません。
しかし、
顧客の要望を必死に努力して考え、
誠実に提供できている人には、
応援したい分だけ応援するでしょう。
見るべきは、顧客の評価であって、
投資家の期待度ではないので、
日々の株価の上下動に
一喜一憂する必要がありません。

②搾取
「搾取」は、
企業価値を利用して利得を得ること。
従って、
「搾取」は「儲け」を見ます。
つまり、
「搾取」を目的とする場合、
稼がなくなったら決済します。
より大きく、確実な利得を目指し、
業績に関わらず、株価の上下で
儲かるなら買うし、損切りもします。

自分のスタンスによって
行動基準も変わりますから、
どちらの「投資」をしたいか、
予め自問自答しておきましょう。
銘柄(企業)の沿革
企業の存続した道程が「沿革」です。
長く続く企業は顧客の求める価値を
長く提供し続けてきた企業です。
しかし、
今後もそうなるとは限りません。
ただ、
顧客の求める価値は変化しますから、
その変化を察して適応していけば、
長く続く企業になり得るはずです。
これまで、
どんな危機をどのように乗り越え、
現在に至っているかを知ることは、
中期経営計画の実現可能性を
確かめる上でも非常に重要です。
私自身は、企業のIR情報だけでなく、
経営者や沿革に関する書籍も読み、
銘柄(企業)の理解を深めるように
しています。

中小企業診断士として、
企業の戦略部門の管理職として、
変革に取り組み続けていますが、
組織文化や組織風土は、
いろいろな状況、行動を経て、
徐々に形作られるもので、
一朝一夕で作ること、変えることは
非常に難しいです。
というのも、
特に既得権を持つ人たちは、
その自覚の如何に関わらず、
リスク回避的に現状に固執しがちです。
つまり、
これまでの成功体験があり、
それを自ら気付き、否定するには、
外部環境の積極的な正しい理解と
変化する努力を厭わないタフさが
求められるからです。

企業の沿革や経営者の歴史を語る
様々な資料、書籍を見ながら、
変化への挑戦と実現、適応を
どの位、どの様に成してきたかを
調べていくのです。
技術革新や情報革新の速度が
早くなっている世の中では、
変革は絶えず起こるもので、
新陳代謝とも言えますし、
それを実現していく
経営、組織、現場がそこにあるかを
確認していく作業の一つとして、
理念と沿革を把握するのです。



