「強み」こそ新体験・感動の源
「強み」とは何か。
創業、新規事業、事業再構築など、
思い切って新しい商品・サービスを考える時、
この具体化から始まります。
しかし、
いざ「強み」を考えてみると、
いまいち確信が持てないといったことは
事業計画書の相談でよくあります。
では、どのように具体化していくのか。
自分の得意なこと、経験、技術でしょうか。
その時、他の人や会社の「強み」って
どう感じるかを考えるのが有効です。
お客さま目線で考えると、
「強み」は「何を生み出すか」です。
生き残っている商品・サービスは、
お客さまのニーズに合う
優れた「強み」を持っています。
というのも、
ニーズを満たす代替手段は多くあり、
「優れた違い」を持つ方が選ばれます。
つまり、「他にない価値」が
「新体験・感動」という満足につながります。
これを個人レベルで考えると、
「他にない技術・アイデア」
です。
例えば、「映像」での「新体験・感動」。
「映像」が出現するまで、
人々が自分の頭のだけにあった想像を
伝える手段は、言葉、絵、音楽でした。
映画やテレビの登場は、
「映像」として他人の頭の中にも体験させる
という新たな体験や感動を提供し、
それをカメラ、フィルム、電波など
多くの技術という「強み」で実現しました。
「料理」はもっと身近です。
自分や家族の味とプロの味は全く違います。
その道を究めようとしている人が
作り出す独特の味やお店の雰囲気などが
非日常的な気分を体験させてくれます。
それは、
外観、内装のデザイン、装飾、レイアウト、
調理技術、材料調達などの技術の集合体です。
「情報」もインターネットによって、
驚くほど短時間に膨大な量が安く使えます。
紙や印刷技術がない時代は、
本などの書物で情報が共有され、
様々な革命につながりましたが、
それも紙、印刷という技術に始まり、
通信技術、デバイス、ビジネスモデル
といった技術に至っています。
強みの蓄積が新体験・感動に
このようなイノベーションには
相当な時間と人々が関わりが必要です。
時代を超えて受け継がれたり、
偶然にも同時代に自然発生的に
複数の場所で進行したりします。
だた、
それぞれに目指した「新体験・感動」があり、
その実現に向けて様々な技術や仕組みを
創り出されてきました。
初めて空を飛んだ「ライト兄弟」も
「飛びたい、飛ばせたい」という
熱い思いがあったからこそ、
何度も失敗を重ねて
初めて空を飛ぶ事ができました。
同じように熱い思いを
持った多くの人々の技術の
積み重ねがあって、今があります。

新体験と感動の明確化が先
つまり、重要なのは、
目指すべき「新体験・感動」を
先に具体化しておくこと
です。
これを後に考えてしまうと、
「売り手本位」の商品・サービスになり、
自己満足で終わる場合が多いです。
これがビジネスプランが
失敗する最大の要因です。
「売るために何を目指すのか」
ではなく、
「お客さまの新体験・感動を
創るために何を目指すのか」
です。
「売る」というのは、
「新体験・感動」を提供する「手段」であり、
お客さまが対価を払う目的は、
便益だけでなく、「新体験・感動」です。
強いかどうかは相手次第
一方で、
目指すべき「新体験・感動」を定義できても、
できること、できないことがあります。
「できること」が
多ければ「強み」があると言えますが、
よく見落としてしまうのが、
「強い」かどうかは、
比較対象となる相手がいるから
言えるということです。
何となく競合を選んで
他者分析をしてみても、
何を知るべきで、
どう対応すべきか具体化できず、
集めた情報から自分本位に
結論を作り出すことになります。
そもそも集める情報には
目的、意図がなければ、
情報の価値が乏しくなってしまいます。
従って、もう一つ重要なのは、
代替手段となる相手を具体化すること
その次に、
相手に対する「強み」になるものを探します。
「相手」は人や企業だけでなく、
商品やサービスを中心に考えます。
なぜなら、
それが価値の対象だからです。
また、「強み」は必ずあります。
この世には、
全く同じ人生を歩んだ人はいません。
個人が唯一無二ですから、
その組織も唯一無二のはずです。
その個人や組織にしかできない
強みとなる技術やアイデアは必ずあるので、
相手を定量・定性で比べつつ、
多くの人の多様な意見を収集しましょう。
すぐには見つかりませんが、
必ず見つかるはずですし、
見つかれば、8割方事業は立ち上がります。

